2019年 帝劇SHOCK 感想と考察

 

Endless SHOCK 2019 帝劇公演の感想と考察。公演期間中にツイッターにぽちぽち落としていた諸々との重複もあれば、回数を重ねるにつれ捉え方が微妙に変わっている点もある。

 

 

【リカ】

    キャピキャピしていてかわいい。もともと梅田さんの印象が愛らしい感じだから、コウイチの死を受けて逞しい女に成長していく過程がとてもリアル。これまでのリカ役を思い返すと(その人の演じたリカは見たことがなくても)ご本人に“強さ”を感じる人が多かったから新鮮。あと、それも幼さのイメージが先行するからなんだろうけど、対コウイチに恋心というよりは完全に座長としての尊敬の念だなという感じ。若しくは、その気持ちに少なからず恋心が含まれていることにリカ本人が全く気がついてなさそう。

    梅田さんの声がとっても透明感のあるクリアな声で、シェイクスピアの「ねえヒロキ、見て?貴方がやったんでしょう?」を聞いた時は震えた。歴代リカの殺戮の見本!!!も好きだったけど、「忌まわしい大地へと変えてしまった~」の迫力ある台詞直後にフッと力を抜いて余裕を含んだ演技、凄かった。余談だけど、あまりにも梅田さんが良すぎるから来年のリカ役の女優さんの調理次第で改変が成功なのか否かはっきりしそうだなと思っている。

 

 

【ウチ】

    テラニシから屋上のシーンで(それは今でも変わってねえけどな!)、ノエルから休日のシーンでおちょくられてる(変な入れ知恵)ところを見ると、普段からイジられキャラなんだろうなという印象。台詞はこれまでと変わってないんだけど、今回役の上でもウチとテラニシ / ノエルは年の差がありそうに見えるから、歳下からやいやい言われて余計イジられ感が増してる。(去年のユウマのその絡みはふぉ~ゆ~兄ちゃんから可愛がられてる / 気の置けない友だちのテラニシとのじゃれあいに見えた)

    ウチのこと、コウイチと(少なくとも対ユウマよりは年齢面では)対等なライバルだと思って見てたけど、精神面は幼そう。コウイチが死んだとわかった時のオーナーにすがりついて泣きじゃくる姿を見て、多分小さい頃は気に入らないことがあるとすぐああやってオーナーに泣きついてたんだろうなと思った。ちなみにユウマは全体を通して反抗期って感じで、あそこで一気に爆発する感じだったと思う。そこらへんは去年のユウマと比べるんじゃなくて梅芸と比較したい。

 

    「好きな人が振り向いてくれない辛さ、俺には分かるんだよ」の台詞、ずっとリカへの気持ちの話してるんだと思ってたけど、ウチの手の伸びている方向がコウイチだった。この解釈のおかげでコウイチとライバルの想いのすれ違いやちょっとした勘違い、お互いの過ちの部分が色濃く見えるようになった。ほかのライバルがどんな解釈なのか気になるから早く梅芸が観たい。


あとは太鼓諸々、体力勝負になるところはさすが歴長いし強いな~と思った。

 

 

【フクダ】

    いつもコウイチの右腕的な感じなのに、ウチがジャパネスク15分前の時に「じゃあ言うけどさあ!」って語り出した時、「それは今言うなよ」的な空気を出すのがずっと気になっている。フクダでさえそう思うってことは、カンパニー全体はよりそう思ってただろうな。

    コウイチの側にいてコウイチが一匹狼にならないように(「オーナーの劇場のこともあるからさ」とか)、自分のことよりまずみんなのことを優先して声をかけたりしているけれど、もっとフクダ自身の感情を見せてもいいんだよ~と思う。フクダまで好き勝手動かれたらまとまりがなくなるのは分かってるんだけど、フクダが自由に動き回れるような環境があったらよかったのにな。


今年ゲンタがコウイチ側に全然気持ちを置いてないこともあって、関係性を見いだすのが本当に難しい…

 

 

【マツザキ】

    今年、どうしてマツザキがウチの側につかなくちゃいけなかったのかずっと分からなかった。あまりにも梅芸のユウマありきの脚本になってないか?と思ったりしたけど、ウチの精神面での弱さを見越してのことだったのかなというところに着地した。2幕の全てが明かされるシーンでフクダとマツザキの台詞がまだ当初の流れだったときはマツザキが“コウイチに言われたからお前の側についてた”感が物凄くて、ウチを気にかけてくれてるのコウイチ・オーナー・ゲンタしかいないじゃん…ってすごい落ち込んだから、台詞順逆になって流れがスムーズになってよかった…何でか分からないけどマツザキ自身の意思がそこに含まれた気がする。

    傘のシーンもウチはマツザキから傘を受け取ってくれるから、対ウチに関しては心の拠り所にしてた部分もあったんだろうな。

    でも、コシオカはユウマ含めみんなのお兄ちゃんって感じだったからライバルチームの子たちが(少なくともゲンタは)懐いてたけど、今回は派閥に興味がなさそうなノエルがいたこと、実は気持ちがコウイチ側のカイトがいた(後述)のもあってあんまり『ライバルチームでの結束』みたいなのは見えなかったなあ。ウチとマツザキで関係が完結してたように見えた。良いか悪いかは別として。

 

 

【テラニシ】

    今年の脚本、どう考えても観客が全員テラニシ過保護マンになる。去年までテラカイトゲンタの3人でピヨピヨしてたのに….今年は現実でも役でもずーっとプレッシャーに駆られるだろうからついテラ…(T . T)と感情移入してしまう。

あと直接的に演技に関係ないけど篠笛がむちゃくちゃ上手い。

    去年マツザキが刀を渡していた時は「そんなバカな!」って鞘と刀を何度も見つめて嘘だ!嘘だ!って大げさなアプローチだった気がする(確か)けど、テラニシは頭真っ白になって固まっていて、完全に自分の確認ミスのせいで…と罪の責任を感じているから辛かった。誰か!誰か!!!って叫んでるんだけどいろんな人のいろんな叫び(続けろ!とかやめて!とか)が混じって届かなくて。1年後、コウイチがカンパニーに戻ってきた時も「身体、大丈夫なのか?」のくだりでコウイチがふざけるのにそれに上手く笑えない、あえて小柄で?にも対処せず続けるくらいずっとずっと罪の責任を背負い続けてきたテラニシがNYDでニコニコしていて、いやあほんとによかったね…(T . T)

    結局刀をすり替えたのはウチだと分かったときの静かな怒りの演技よかったな。そりゃこの1年自分を責め続けてきた気持ちをどうしてくれんだよ、って思うよね。

 

 

【ノエル】

    役へのアプローチがとてもピュア。本人のキャラクターが一番役に生きてるのがノエルだと思う。オーナーが記者の取り巻きを自分に惹きつけたときにも記者に向かって深々ひとりでお辞儀をしていたり、公園で直さんに出会った時にもちゃっかり投げ銭をしている。(投げ銭用の箱があるなんてノエル見て初めて知った)(ちなみにそれを見てゲンタも投げ銭するようになってた)Higherでもピンスポの位置を辿って後ろを振り返り、最初にコウイチに気がつくのもノエルだ。そんな周りを見られる余裕がありながらも、とても好奇心旺盛(パンフに記載あり)でお茶目。

    そのHigherでは最初は戸惑い、ウチのことを気にかけながらも、完全に一緒に踊りたい気持ちが勝っている。座長がサプライズで帰ってくるなんて、こんな面白いことはないと言わんばかりにキラキラした顔で合流しに駆けて行く。

 

    ノエルがもし、如恵留さんのように他のメンバーよりもカンパニーとしての歴が浅いなら、きっと他のメンバーよりも周りへの情とかに流されずに動けるのでは。 

    カイトが「やっぱりオーナーの…」って言ったとき「何言ってんだよ、せっかくここまで来れたのにさあ!」って台詞を言うのがノエルだから、きっとノエルはオンのステージに強烈な憧れがあって(それこそSHOCKに出たいって夢を叶えた如恵留さんのように、オンのステージに立ちたい!って気持ちをやっと叶えられたのでは?)、だからこそライバル側なんじゃないか。オンに残るのはウチの側にいたいからというよりは、オンに立ち続けたいからではないだろうか。 

 

 

【ゲンタ】

    パンフレットで「ウチ神くらいでいこうと思っている」と言っていた通り、ウチをとてもよく慕っている。そもそもどうしてウチを慕うようになったのか、劇中からヒントを全く得られないので、劇中の時間軸よりもっと前に、きっかけとなる出来事があったのだろうと憶測で事実を飲み込んでいる。

    そんなこんなでウチを慕ってるからジャパネスク15分前とぼとぼ準備しにかかるし、Higherでもめちゃめちゃウチを気にかける。下手のウチを見ていてターンすべきところでし忘れたりする。ここのゲンタ、最初はウチのことが心配で見てるのかな?と思ってたけど、「もう1曲やるなんて聞いてねえぞ」のあとに「俺も聞いてねえよ、でも続けろ」って言ったくせに!突っ立ってんなよ!SMGOだろ!?っていう感じもした。かと思えば「こんなに楽しいのに!ウチもおいでよ!」という回もあって、その日その日の元太くんの芝居への挑戦が一番感じられたのはここだったと思う。

    どんなシーンでもテラニシとアイコンタクトを取る瞬間はいつもニコニコで、ゲンタはちょっとお兄ちゃんな(テラニシはノエルよりも歳上な設定だと思ってる)テラニシをお兄ちゃんのように小さい頃からずっと慕ってたんだろうなという感じがした。Higher後も、コウイチと再会できて、というよりはテラニシと会えた喜びの方が大きそう。

 

    去年のジャパネスクの盆の上での雷とともに首打たれる見せ場がオケピ諸々の都合でなくなったのは寂しいけど、それでもコウイチと1対1でやり合う部分を残してくれたのが嬉しかった。本人が自信を持ってる・楽しめている殺陣でああやってフィーチャーされるなんてそんな嬉しいことはない。

 

 

【カイト】

    今年ゲンタが大人っぽさを増したのかカイトがさらに幼くなったのか、多分両方だけど、とにかくカイトとゲンタの年の差が開いたように見える。ゲンタお兄ちゃんがカイトちゃんのことを気にかけてる姿をやたらと見かける。ゲンタがYMDで右腕を肩にかけてるの見てびっくりした。

    カイトのパンフレットの一文「ウチには逆らえない」をもって、気持ちが完全にコウイチ側であることが伺える。ウチ側に残ったのもゲンタやノエルが居るから、ウチに逆らえないから。RTWでソロを貰うくらいだからウチに溺愛されていて、それは「こんだけよくしてやってるんだからお前はコウイチじゃなくて俺派だよな?」という圧力にもなっていたのかな。休日終わりでライバル側に行くのを躊躇うのも、これまでは「どっちのことも気がかりだけどどうしていいか分からない」だったのが「ウチのところへ行かないと多分まずいけど、気持ちとしては残りたい」みたいな感じなのかなと。

    そんな背景が見えるようになって、去年からデドアラ(ライバルの悪夢)に出演するようになったことに対して説得力が増した。


    最初は幼くてみんなに愛される末っ子カイトちゃんだったのに、コウイチの死を受けて、最後にはコウイチを大桜の下まで運ぶ大役を任されるまでに成長するカイト….1幕の最初の方と最後とでは全然顔つきが違って、実際はたった3時間程度の中にきちんと2年間分くらいの月日が流れているその表現力が凄まじい。

 

 

    劇中劇以外の歌唱パートも若干増えて、よりミュージカルっぽくなったし、リカの歌がたくさん聴けるようになって嬉しい。アレンジ違いのDon't Look Backを前半から差し込んでいくことで、これから起こる悲劇を示唆する構成もすごく良かった。

    シェイクスピアの悪夢の改変も、分かりやすくなっていてわたしは良かったなと思う。(ただ後日、違う芝居を観に行った際に「最近は分かりやすい芝居の方が好まれるんだよ」っていう皮肉の台詞を聞いてちょっと胸を痛めたりもした)「お前のせいだ」ってコウイチ側のメンバーから口々に責め立てられる悪夢見るほど追い詰められてるウチ、かわいそう…引き起こしたの自分だけど……。

 

 

代打で出演することになったザキさんがザキ屋を開ける感じじゃなかったのかもしれない。のえ松松があまりにも目まぐるしいスケジュールでなかなかゆっくりできなかったかもしれない。そんなこんなで今年はなかなか裏側の話がゆっくり聞けなかったから、梅芸では楽しい話が聞けたらいいな〜と思っている。元太くんも9月なら最後までみんなとご飯できるし!

カンパニーの皆さん、怒涛の2ヶ月間お疲れさまでした !