ようこそ、宇宙図書館へ。

 

 生まれてはじめて、ユーミンのライブに行った。決して炎や水など派手な特攻などはなかったけれど*1、わたしは彼女のステージから1秒たりとも目が離せなかった。あまりにもエネルギッシュで、物凄い引力を持っていて、気を抜いたら吸い込まれてしまいそうだった。

  わたしみたいな若造が今さら「ユーミン凄いぞ!!」と言ったところでもはや国民の常識。あくまでもわたしのライブの感想、備忘録です。

 

この記事はネタバレ、セトリを含みます。ユーミン界隈でこの手の問題がどう扱われているのかは知りませんが、ご覧になるかどうかはご自身の判断でお願いします。

 

太字は楽曲名です。

  

 「ようこそ、宇宙図書館へ。宇宙図書館と聞いて、どんな図書館を思い浮かべたでしょうか。宇宙の分野に詳しい図書館?宇宙に浮いている図書館?わたしは、図書館こそが、宇宙の入り口なのだと思います。だって何も知らなければ、宇宙がどんなものなのかも分からないのだから。無数の銀河のように、無数の知識が広がる図書館。(中略)(つなぎの言葉を忘れました)汽車の出る時間です。図書館発宇宙行き。目的地はあなたが決めてください。忘れ物はないですか?それでは出発です」

 

 アルバムのリードトラックである宇宙図書館をしっとりと歌い上げた後、彼女はこう言った。この時、この人のことが本当に好きだと感じた。*2そして図書館発宇宙行きの列車が発車するとあなたに会う旅が始まる。この流れが初っ端からあまりにも美しくてぞわぞわした。

 後ろが透けるような薄いスクリーンに投影されたダンサーと一緒にユーミンも踊る影になって、アルバムジャケットの衣装でステージ後方から光を浴びて布をはためかせて登場したAVALON、次の曲がBABYLONという言葉遊びも面白い。夢の中で~We are not alone, foreverでは男女のダンサーさんの踊りがメインで、ユーミンはまるでストーリーテラーのようだった。男女の可愛らしい恋の様子を描いたような可愛らしいダンスだった。女性はワイヤーをつけていて空中を舞う振り付けもとても美しかった。

 

AVALONの衣装の図

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わたしも後から知った余談。この女性ダンサーさんは隼海惺(はやみせい)さんという方で元月組タカラジェンヌ。そして愛称は「ゆーみん」だったのだそう。そういう小さな遊びがお洒落だ。

 

 ひこうき雲midnight scarecrowと続いて、 今回のライブでわたしが一番ウワーーー!!!となったのが

「すぐに寝付ける人って羨ましいなと思うんです。わたしはなかなか寝付けないので、寝る前に必ず本を読みます。老眼鏡も掛けてね。数ページ読んでいると睡魔が襲ってきて、文字が宙に浮かんだりします。いつの間にか朝になっていることもしばしば。ランプも付けっ放しで、老眼鏡も掛けたまま、なんてこともあります。そんなとき、本が夢に繋がっているんじゃないかなと思ったりします。繋がっていたらいいのに。そうしたら過去の記憶も変えられるのに」(要約)

 

という短いMCが終わった瞬間。謎の物体がまるで私たちを引き込むように大きくグルグル回る映像と、テテテテテテテテ!!という爆音。ああ、文字にすると全然伝わらないのがもどかしい。リフレインが叫んでるが、ものすごいエネルギーで流れ出した。そのグルグル回る物体はきっとリフレインを可視化していたのだと思う。途中からは宇宙に歌詞の文字が浮遊していた。まるでユーミンの夢の中に入ってしまったかのようだった。

 月までひとっとびで真っピンクのレトロな可愛らしいワンピースを纏って登場したユーミン。御年63歳とは思えないお茶目さ!可愛らしさ!スクリーンにはモノクロのフランス映画のような映像で、どこかで見たことがあるようなシーンが流れる。そこからのルージュの伝言!ブラスサウンド大好き昭和かぶれ女(ワタシ)大喜びのセットリスト!!ここで立ってノりたい人が(全員ではない)ぞろぞろ立って、各々が好きなように音楽に身を委ねていたのが素敵だった。ワ!ワ!というコーラス隊のパートに合わせて両手を上にあげる振り付けをファンが真似しているのもなんだか可愛らしかった。続いて何もきかないで。心の隙間を埋め合えればいいからその他のことは何も聞かないで、というなんともまあ都合のいい歌詞なんだけど、それとピンクの衣装のよく合うこと !小悪魔的、というのだろうか。どこか掴みどころのない女の子、といった雰囲気がよく出ていたなあ。

 

 「最近スマホを買いました」という短いMCが入る。ツイッターを始めてみたらなんだか楽しくて、自撮りをしてみたりしているユーミン可愛い。 Webサイトのライナーノーツにも書いていたけれど、スマホを持つようになったからこそ書けた歌、だと言って歌い始めたSmile for me。 わたしがアルバムの中で一番好きな楽曲。カメラを向けた時のその表情は勿論あなた自身には見えないからわたしだけのもの。誰にも見せたことないような素敵な表情をしているのは、カメラの向こうにわたしがいるからでしょう?っていう甘酸っぱさ !!ユーミンの心がいつまでも少女だから、青春っぽい可愛らしい歌詞が本当に上手い。オレンジっぽいライティングも相まってきゅんっとした。

 

 えっ急にBYAKUYAのコンブ垂れてきた、って思わずびっくりした残火ユーミンのコンブはプロジェクターみたいになっていて、映像が映し出されてた。アップデート・コンブ。そして満月のフォーチュン、破れた恋の繕し方教えます、真夏の夜の夢と続いて観客のボルテージも上がる !破れた~で、プルルルルっていう電話の音の様なサウンドに合わせてフラッシュみたいに照明が点滅したのが、とっても格好よかった。この曲、わたしは今ツアーではじめて知ったんだけど、ファンの間では有名なのかしら?確かにベースのスラップが効いていたりしていてとても格好いい。真夏の夜の夢はもう誰が聞いてもテンション上がるよね !この間、源さんのANN内の「イントロクソやべぇ」のコーナーでも紹介されていたけれど、あの異国情緒溢れるイントロを聴いて「フ〜〜〜〜〜〜!!!!」ってならない人とは友だちになれない。(笑)さっきまで60's風のピンクのドレスを纏っていたユーミンが、今度はアラビアンな衣装を着こなしていて、なんでも似合うってやっぱりスターだなあと思った。*3

 

 ノリノリで大騒ぎしたあとはダンスのように抱き寄せたい気づかず過ぎた初恋GREYでしっとりと本編が終了。物凄い演出があるわけでもなくて、大人の余裕みたいなものを見た気がした。特に気づかず過ぎた初恋は、ライティングにもどことなく星の王子さまのやさしさを感じて、心に沁みた。

 

ってゆったりとした空気に身を委ねていたらテクノサウンド鳴らしながら星になったふたりでアンコール出てくるんだよ!ズルい!現代っぽい音の作りなんだけど、メロディーがどこか懐かしさを感じるような曲。ミラーボールが回っていて自分がタイトルの通り星になったみたいで!ステージがきらきらしていて!ここにきてまた「夢の世界だ!!」って再認識させられたように感じた。アンコールは余興派としっかり作りこむ派がいるけれど、ユーミンは前者なのかなって思ったのがDANG DANG→14番目の月→守ってあげたい→埠頭を渡る風→真珠のピアス→オールマイティー→春よ、来い→カンナ8号線→DESTINYのメドレー。大スターだからこそ、いつもCDで聴いていた超有名曲を生で聴けたときの感動はひとしおだと思うのだけれど、それがまさにこれ。幕ノ内弁当みたいに色んな味が楽しめて大満足!!

  

 最後、再びWアンコに登場してくれたユーミン。公演ごと(会場ごと?)に楽曲が違うらしく、わたしが入った国際フォーラムの公演では卒業写真だった。この時、会場にいたお客さんが微かな声で口ずさんでいるのがあちこちから聞こえた。世代もバラバラなお客さん*4が、各々学生時代の思い出をこの卒業写真に重ね、同じ場所で歌っている光景がとても素敵だった。かなり後方の席だったこともあって、歌っているお客さんの背中を見ながらわたしも口ずさんだのだけれど、なんだか卒業式の体育館で並んで歌っているような気持ちになった。ちょっとウルっときた。

 

 63歳にして歌って踊ってのステージをノンストップで2時間ちょっとやれちゃうんだから凄い。やっぱりユーミンは凄い。お辞儀一つで品の良さが伺えて、なのにとってもお茶目なユーミン。一般人のわたしが憧れても到底たどり着けないけど、ユーミンみたいにいつまでも子どもの頃の気持ちを忘れない年の取り方をしたいなあ!なんて思った。

 

またいつかユーミンの生歌が聴けたらいいな!

 

 

*1:とは言えのちに色んな仕掛けが出てくる

*2:そのときわたしの頭の中に、ようこそという言葉を掛けてNEVERLANDへ連れて行ってくれた人たちがよぎったことは言うまでもない。わたしの好きな人たちは今年、ファンタジーに振り切ってその世界観へと誘ってくれたのだ

*3:いつぞやのお肉柄のワンピースの話はやめてください

*4:わたしの世代はわたしたちしか見当たらず、ほとんどが親世代かそれ以上だった